おそろしや
共謀罪めぐりHPでバトル 日弁連、法務省説明に対抗
時事ネタにうとい生活をしていてこんな法律が採択を急がれているとは思ってもみませんでした。
そもそも現行刑法に、共同正犯という規定があります。一部でも犯罪の実行行為を行った者は全部責任を問われるという趣旨の規定。でもこれでは暴力団の黒幕等、真に主犯格として犯罪に関与したと実質的に言えるのに、実行犯ではないがために責任追及できない、として、共同正犯の範囲を広げ、「共謀共同正犯」という概念を解釈から導き出しました。謀議に加わって、主犯格的な役割を果した者は、実行行為を行っていなくても、なお共同正犯として処罰される、というものです。
この解釈ですら、未だに議論があるものなのです。すでに判例も古くから出ており、今では定着してしまってはいるんですが、「団体責任を認めるものであり、憲法の個人主義の精神に反する」と、今なお反対論はあります。
このような状況なのに、新たに「組織的な犯罪の共謀罪」なる法律の採択が数の論理で押し切られようとしている、と。内容的には法務省のHPを見てもらえばわかるので割愛しますし、それを読んだ方がどう判断するかはこの際おいときますが、コレを、「条文内容は合理的に限定されているので、一般人の表現・言論の自由を制約することはありません」と言い切れる感覚がそもそも私には理解できないです。
昔、私が小学生だった頃クラスでこんなことがありました。
ある昼休み、鼓笛隊の練習が終わってクラスに戻ってくると、クラスの女子が教室の片隅に集まってひそひそ話をしていました。「どうしたの」といって輪の外から話しかけてみたら、クラスの女子のボスみたいな立場にいた女の子の陰口をみんなで話していたのでした。私は興味がなかったので「ふうん」と言ったきりそれとなく輪から外れたのですが、翌日登校してみると、昨日の出来事が陰口を言われていた本人にすべてばれており、なおかつ私が中心になって陰口をふりまいていた、ということにされているではありませんか。「ふうん」のひと言が、そう解釈されるとはね(もちろん誰かが告げ口をしたんだろうけど)。
例えとしては相当不適切で申し訳ないけど、もしこの法律が通ってしまうと、「共謀」の内容が不明確だし、成立する犯罪が広すぎて漠然としているために、あえて極端に言えば、解釈・運用次第ではこんな危険もありうると日弁連は言っています。そうなっちゃったら、こわくてうっかりものも言えないです。それに、立件するときの証拠収集はどうするんでしょう。物証がまるでなかったら?
万一、この法律が採択されて公布されてしまったとして、第一号適用事件が起ってしまったとします。この時、おそらく弁護人はこの法律の憲法適合性を当然のように争うでしょう。そのとき、「憲法の番人」たる最高裁判所が次のように言うことは今からでも目に見えるように予想できます。
同じように法文が不明確だとして争われた事件で、「法文をそのまま読むのではなく、合理的に限定した解釈を加えれば、○○とは△△という意味に限定されると解釈できるから、過度に不明確であるとはいえない。ゆえに合憲である」と過去何度も言ってます。
おそろしい犯罪も増えてるけど、おそろしい法律も増えますねぇ…。
ああ、また暗いネタになってしもうた。
時事ネタにうとい生活をしていてこんな法律が採択を急がれているとは思ってもみませんでした。
そもそも現行刑法に、共同正犯という規定があります。一部でも犯罪の実行行為を行った者は全部責任を問われるという趣旨の規定。でもこれでは暴力団の黒幕等、真に主犯格として犯罪に関与したと実質的に言えるのに、実行犯ではないがために責任追及できない、として、共同正犯の範囲を広げ、「共謀共同正犯」という概念を解釈から導き出しました。謀議に加わって、主犯格的な役割を果した者は、実行行為を行っていなくても、なお共同正犯として処罰される、というものです。
この解釈ですら、未だに議論があるものなのです。すでに判例も古くから出ており、今では定着してしまってはいるんですが、「団体責任を認めるものであり、憲法の個人主義の精神に反する」と、今なお反対論はあります。
このような状況なのに、新たに「組織的な犯罪の共謀罪」なる法律の採択が数の論理で押し切られようとしている、と。内容的には法務省のHPを見てもらえばわかるので割愛しますし、それを読んだ方がどう判断するかはこの際おいときますが、コレを、「条文内容は合理的に限定されているので、一般人の表現・言論の自由を制約することはありません」と言い切れる感覚がそもそも私には理解できないです。
昔、私が小学生だった頃クラスでこんなことがありました。
ある昼休み、鼓笛隊の練習が終わってクラスに戻ってくると、クラスの女子が教室の片隅に集まってひそひそ話をしていました。「どうしたの」といって輪の外から話しかけてみたら、クラスの女子のボスみたいな立場にいた女の子の陰口をみんなで話していたのでした。私は興味がなかったので「ふうん」と言ったきりそれとなく輪から外れたのですが、翌日登校してみると、昨日の出来事が陰口を言われていた本人にすべてばれており、なおかつ私が中心になって陰口をふりまいていた、ということにされているではありませんか。「ふうん」のひと言が、そう解釈されるとはね(もちろん誰かが告げ口をしたんだろうけど)。
例えとしては相当不適切で申し訳ないけど、もしこの法律が通ってしまうと、「共謀」の内容が不明確だし、成立する犯罪が広すぎて漠然としているために、あえて極端に言えば、解釈・運用次第ではこんな危険もありうると日弁連は言っています。そうなっちゃったら、こわくてうっかりものも言えないです。それに、立件するときの証拠収集はどうするんでしょう。物証がまるでなかったら?
万一、この法律が採択されて公布されてしまったとして、第一号適用事件が起ってしまったとします。この時、おそらく弁護人はこの法律の憲法適合性を当然のように争うでしょう。そのとき、「憲法の番人」たる最高裁判所が次のように言うことは今からでも目に見えるように予想できます。
同じように法文が不明確だとして争われた事件で、「法文をそのまま読むのではなく、合理的に限定した解釈を加えれば、○○とは△△という意味に限定されると解釈できるから、過度に不明確であるとはいえない。ゆえに合憲である」と過去何度も言ってます。
おそろしい犯罪も増えてるけど、おそろしい法律も増えますねぇ…。
ああ、また暗いネタになってしもうた。
by tuki-nowa
| 2006-05-09 09:18
| 勉強のこと
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プロフィール
名前 つきのわ
性別 女子
誕生日 山口智子の前の日
生息地 京都
マイブームは西京極。少しずつでも変わろうとしているサンガを見習って私も変わりたい。
好きなものはチャリダー、焼き鳥、酒全般。
座右の銘「寝る子は治る」
性別 女子
誕生日 山口智子の前の日
生息地 京都
マイブームは西京極。少しずつでも変わろうとしているサンガを見習って私も変わりたい。
好きなものはチャリダー、焼き鳥、酒全般。
座右の銘「寝る子は治る」